悩んだ時に、心だけで悩みを解決しようとしてないでしょうか?
イライラした時に、心だけ落ち着けようとしても落ち着けられないように、悩んでいる時も、心だけで解決しようとしても解決はできません。
ヨガでは、ヨガのポーズを通して呼吸や身体を整えることで、心の調整を行っていきます。
でも、身体と心のつながりと言われても、すぐには受け入れにくい人もいるかもしれません。
普段は、気持ちのいい時、嬉しい時の身体の状態と、そうではない時の身体の状態を比較し説明するのですが、今回は、あえて、心の育ち方といった違った側面から、心と身体の関係を見てみたいと思います。
まずは、生まれたばかりの赤ちゃんを想像してみて下さい。
その赤ちゃんの脳。その脳の中に「心の卵」があります。
この世に生を受けた後、赤ちゃんは、身体を動かしながら、外界と接して、その感覚を脳で受け取ることで学んでいきます。「心の卵」を育てていきます。
手や足を動かす時の感覚。
笑顔を作ることで、相手も笑顔になってくれる喜び。
だんだんと手足を使うことを覚え、たくさんのことができるようになる好奇心。
これらの感情〜脳への刺激が「心の卵」を大きくしていく。
そして、モノを触った時。ふと手にトゲに刺さった時の痛み。
生命の危険信号。これを記憶し、今後はその痛みを避けるようにする。
たくさん経験することで、社会に触れることで、様々なことを”生きるため”に予測できるようになり、一人一人が生きるということを自然に学んでいく。「心の卵」はいつの日か、その人の心そのものになっている。
これが心の育ち方ではないかと、私は考えています。
では、ここまでの話を前提として、もし、生まれたばかりの赤ちゃんの脳だけを取り出したら「心」は生まれるでしょうか?
・・・おそらく生まれないと思います。
脳は直接、外界と触れることができません。外界と接するためのインターフェース=身体が必要です。
つまり、身体が無ければ、脳は何も判断・反応できず、心は生まれて来ない。
心は外の環境に影響を受けますが、感じるための身体が絶対必要です。
(ロボットの心は?なんてSF的な疑問が湧くかもしれませんが、あくまでもここでは人間の心を取り扱います。)
最初の質問に戻ります。
心の中で、ただ悩んでいるだけで何か解決するでしょうか?
外界を感じるための身体のことを忘れてはいないでしょうか?
(テレビを見る眼、うわさ話を聞く耳。それらも身体の一部です。)
ヨガにおいて身体を動かしていくこと、身体を良い状態に持って行くことは、脳に刺激を与え、心へとアクセスすることになります。
高度に情報化した社会では、脳にたくさんの情報が次から次へと入ってくるため、心はたくさんの心配事を抱える傾向があります。
心の心配事を優先して、身体を忘れていませんか?
身体が感じている感覚を忘れていませんか?
ヨガを通して、意識を内面へと向け、ご自分の今の状態を感じてみませんか?
その心配事は、自分にとって、みんなにとって、世界中にとって、重要な心配事でしょうか?
それでは、みなさまが、穏やかに毎日を暮らせますよう願っています。
最後まで読んでくださった方、ありがとうございました。
■参考文献
池谷裕二「単純な脳、複雑な「私」」講談社ブルーバックス、2009年(初刊)
脳の働きを楽しく知る事ができる本です。脳を知ることでいろんな気づきがあると思います。
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